俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
名前で……。
「前島のことは、一晴って呼んでるんだから……同じように友達の俺のことも朝陽って、呼べるだろ?」
「……っ」
一之瀬くんのことを、名前で呼ぶなんて……。
「呼びたくても……呼べない」
「は? なんで?」
「一之瀬くんのファンの子たち……特に、成宮さんの目もあるし……地味な私が学校の王子様の一之瀬くんを、下の名前で呼ぶなんておこがましい」
「……成宮? 前から気になってたけど美月、お前やっぱり……成宮と昔、何かあったんだな」
一之瀬くんは、確信したように言う。
「え? どうしてそう思うの?」
「だって成宮、前に美月のこと『じみつき』って呼んでただろ? それに美月、成宮のことを話すときは、いつも浮かない顔してるし?
普段から美月を見ていれば、それくらいすぐに分かるよ」
うそ。いつも、私のことを見てるの!?