俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「古賀……美月ちゃん、か。美月……良い名前だな」


古賀……さん。


古賀さん。古賀 美月ちゃん。


俺は彼女の名前を忘れないようにと、心の中で何度も繰り返し呟いた。


「よし、覚えた。俺の名前は……」

「次の試験、もうすぐ始まるので、受験生の皆さんは席に着いてくださいねー」


俺が古賀さんに名乗ろうとしたとき、ちょうど試験官が教室に入ってきたため、名前は言えなかった。


「残りの試験も、お互い頑張りましょうね」


自分の席に着き、ニッコリと微笑んでくれる古賀さんに、俺も頷き笑顔を返す。



俺はこのとき、絶対に試験に合格して、古賀とまた会いたいと思った。

古賀の笑顔に、一目惚れしてしまったから。


そして今度は、お互いこの高校の制服を着て。ここの学生として、会いたいと強く思った。


この高校に入りたいと思う理由が新たに1つ増えた俺は、緊張ももうすっかりどこかへと消え去っていた。


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