俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「みっちゃーん! さっき中庭で、みっちゃんと王子様が一緒にいるのを見たって人がいるみたいなんだけど……」
同じクラスで友達の、新川 七星が私の席までやってきた。
ココアブラウンの、胸まであるふわふわの髪。くりくりの大きな二重の瞳。
髪の毛と同じようにふわふわした雰囲気。
身長154cmの私よりも少し背が低い、小柄で可愛い女の子。
七星とは、高校に入学して同じクラスになり、席が前後だったことがきっかけで話すようになった。
小説なんて読まなさそうな、ふわふわした見た目に反して、七星も読書が趣味らしく本の話をきっかけに仲良くなった。
それにしても、そういう目撃情報行き渡るの早っ! さっすが、王子様。
「……別に。大した用じゃなかったよ?」
「大した用じゃなかったって。
"あの" 一之瀬くんだよ? 王子様だよ?」
"あの" を、やたらと強調して言う七星。
「……ねぇ、みっちゃん。もしかして、一之瀬くんに告白でもされた?」
七星が自分の口元に手を当てて、私の耳元でこっそりと聞いてくる。
……図星だ。七星は意外と、察しが良い。
私は、指で丸を作った。