俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「こほんっ」
後ろから突然、誰かの咳払いがして振り返ると。
黒髪を後ろに1つに束ねた、40代くらいの司書らしき女性が眉をひそめて立っていた。
「あの、他の利用者さんもおられるので、あまり大きな声で話すのはやめてもらえますか? 少し気になったもので……」
「すっ、すいません」
「ここは図書館なので。なるべく私語厳禁で、お静かにお願いしますね」
そう言うと司書の女性は、その場を去っていった。
「注意されちゃったな。わりぃ、俺のせいで。浮かれて、つい大声で喋り過ぎてしまった」
朝陽くんが小声で、苦笑いを浮かべている。
「朝陽くんだけのせいじゃないよ」
「これからは、しーっ、だな」
唇の前で人差し指を添える朝陽くんを、可愛い……と思ってしまった。