俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
黒のマスク姿の朝陽くんも、かっこいいな。
「昨日俺、美月と一緒に図書館行って、雨降ってたから相合傘もしたんだ。な? 美月」
「え? あ、う、うん」
本当のことだけど、わざわざ一晴くんの前で言わなくても!
「ふーん。そうなんだ……」
一晴くんの表情はほとんど変わらないが、眉がわずかに動いた 。
「あれ? もしかして、羨ましいのかよ? 前島クン?」
「……別に? じゃあね、美月ちゃん」
一晴くんはそれだけ言うと、足早に行ってしまった。
「なぁ美月、わざわざここで待っててくれたんだ?」
「うん。昨日借りた傘を返そうと思って。ありがとうね」
私は、朝陽くんに傘を手渡す。
「待っててくれたとか、やばい。また好きになっちまう」
朝陽くんは、元気そうな笑顔を見せてくれているけど……やっぱり。
朝陽くんの声、いつもより少し掠れてる。