俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「朝陽くん、今日はマスクしてるけど。もしかして、昨日雨に濡れて風邪でも引いた?」

「いや。喉が少し痛むだけだから。熱もないし、一応予防でマスクしてるだけ」


大丈夫なら、良いけど。

あ、そうだ。


「朝陽くん、手、出して?」

「ん? 何?」


朝陽くんは、大きな手のひらを私へと差し出す。


私は、日常的に持ち歩いてる飴を、朝陽くんの手のひらにいくつかのせた。

その中には、のど飴もある。


「昨日傘貸してくれた……お礼に。のど飴」

「ぷっ。美月、いつも飴持ち歩いてんの? 俺に飴くれるの、あのときと一緒だな」


朝陽くんがくすくすと笑う。


……あれ? 私、朝陽くんに飴をあげるのは、今回が初めてのはずなんだけど……。前に、あげたことあったっけ?


「飴ありがとうな、美月」

「ううん。もし風邪気味なら、無理しないでね?」

「だから、そんなんじゃないっての! でも……心配してくれてサンキュ」


< 195 / 341 >

この作品をシェア

pagetop