俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「朝陽くん、今日はマスクしてるけど。もしかして、昨日雨に濡れて風邪でも引いた?」
「いや。喉が少し痛むだけだから。熱もないし、一応予防でマスクしてるだけ」
大丈夫なら、良いけど。
あ、そうだ。
「朝陽くん、手、出して?」
「ん? 何?」
朝陽くんは、大きな手のひらを私へと差し出す。
私は、日常的に持ち歩いてる飴を、朝陽くんの手のひらにいくつかのせた。
その中には、のど飴もある。
「昨日傘貸してくれた……お礼に。のど飴」
「ぷっ。美月、いつも飴持ち歩いてんの? 俺に飴くれるの、あのときと一緒だな」
朝陽くんがくすくすと笑う。
……あれ? 私、朝陽くんに飴をあげるのは、今回が初めてのはずなんだけど……。前に、あげたことあったっけ?
「飴ありがとうな、美月」
「ううん。もし風邪気味なら、無理しないでね?」
「だから、そんなんじゃないっての! でも……心配してくれてサンキュ」