俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
ある日のこと。
春の穏やかな風が吹き抜ける、3月中旬。
桜の蕾も膨らみ始め、あと数日登校したら春休みという頃。
【昼休み、中庭に来てください。】
そう書かれた差出人不明の1枚の紙切れが今朝、私の下駄箱に入っていた。
誰からだろうと思いつつ、昼食後に中庭に来てみたら……。
「……え?」
中庭のベンチに座っていた人を見て、私は目を丸くした。
おっ、王子様だーー!
近くで見ると、かっこいい!
日当たりの良いベンチに座って、日向ぼっこでもしているのだろうか?
私を呼び出した人って、まさか……王子様じゃないよね?
って、ないない。それは、絶対にない。
そう思い、王子様の前を急いで通り過ぎようとしたとき。
──ガシッ!
私は彼に、思いきり腕を掴まれてしまった。