俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


ある日のこと。


春の穏やかな風が吹き抜ける、3月中旬。

桜の蕾も膨らみ始め、あと数日登校したら春休みという頃。



【昼休み、中庭に来てください。】


そう書かれた差出人不明の1枚の紙切れが今朝、私の下駄箱に入っていた。


誰からだろうと思いつつ、昼食後に中庭に来てみたら……。


「……え?」


中庭のベンチに座っていた人を見て、私は目を丸くした。


おっ、王子様だーー!


近くで見ると、かっこいい!


日当たりの良いベンチに座って、日向ぼっこでもしているのだろうか?


私を呼び出した人って、まさか……王子様じゃないよね?


って、ないない。それは、絶対にない。


そう思い、王子様の前を急いで通り過ぎようとしたとき。


──ガシッ!


私は彼に、思いきり腕を掴まれてしまった。


< 2 / 341 >

この作品をシェア

pagetop