俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
俺が、美月から身を引けだって……?
突然なにを言うんだ? こいつ。
「僕、自分の好きな子があんな思いを二度として欲しくないんだよね。今まで美月ちゃん、女子たちに嫌なこと言われたりしていたみたいだし。
学校の王子だとか呼ばれている君が、美月ちゃんにやたらと構うから」
前島がメガネを指で押し上げ、俺のことをキツく睨みつける。
「それに、美月ちゃんも君に何度も言い寄られて、迷惑なんじゃないかな?
一之瀬が美月ちゃんを好きでも、美月ちゃんが君を好きだとは限らないんだし?」
そりゃ、美月からは『好き』とも『嫌い』とも言われていないけど。
俺の美月への恋の答え合わせは、未だにできていない。
──俺は、美月への恋が諦めきれなくて。
最初に告白したとき美月に『罰ゲーム』って言われて、信じてもらえなくて。
それは、美月の過去のトラウマが関係していたと後で分かったけれども。
彼女を振り向かせようと、俺が美月に本気だって分かってもらいたい一心で、今まで頻繁に美月に話しかけたりアプローチしてきたけど。
美月がそれを迷惑と思うかどうかって、考えたことがなかった。
俺は、自分のことしか考えていなかったのかもしれない。
俺は、唇を噛み締める。