俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「ねぇ、古賀さん」
一之瀬くんが、空いていた私の隣の席に座ると、私のほうをじっと見てくる。
「さっき、俺がまだ話してる途中だったのに、なんで先に帰っちゃったの? 俺、悲しかったんだけど」
「…………」
「古賀さん。読書してる姿も可愛いねー」
……はい!?
王子様、いま可愛いって言った?
って、どうせそれも口先だけだ。
悪いけど、ここはもう無視しよう。
一之瀬くんは、そこには存在しない。
そう。彼は、空気だ空気。
「なぁ、その本って面白い? なんていうタイトル?」
ていうか一之瀬くん。
あの告白のあとなのに、なんでこんな普通に話しかけてくるの?
こっちは、無視してるっていうのに。