俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
突然、自分の名前を呼ばれてそちらを見ると、階段の下で息を切らせた一晴くんが立っていた。
「美月ちゃんが教室を飛び出して行ったから。はぁ……っ、気になって追いかけてきたんだ」
一晴くん……。
「隣、いい?」
私の元まで階段をのぼってきた一晴くんが、私の隣に腰かける。
「美月ちゃん、もしかして泣いてたの?」
私はメガネを外して、慌てて目元の涙を拭う。
「なっ、泣いてないよ!? 目にゴミが入っただけ……」
「でも、美月ちゃん。最近、明らかに元気なさそうだけど?」
私、そんな元気がないように見えてるのかな?
「え、いや、ちょっと。最近、朝陽くんの私への態度が急に冷たくなって……避けられてるのかな? って、ちょっと戸惑ってて。
あはは、ごめんね? こんなこと一晴くんに話して」
私は、なるべく笑顔を意識して話す。
「僕で良かったら、どんなことでも聞くから。ねぇ、美月ちゃん。辛いときは、無理して笑わなくて良いんだよ?」
「え?」
気づいたときには、私の後頭部に一晴くんの手がまわり、私は一晴くんの胸に抱き寄せられていた。
「まったく。一之瀬も、美月ちゃんに冷たくするとかひどいなぁ。美月ちゃんを泣かせるなんて」