俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「おい、何やってんの。お前」
低い声が聞こえたかと思うと、腕が解放され、私と金髪男との間にスッと人が割り込んできた。
「なんだ? お前、邪魔すんなよ」
「この子、嫌がってるだろ?」
この声……朝陽くん!?
どうして朝陽くんがここに!?
朝陽くんは背中で私を隠すようにして、私の前に立ってくれている。
「はぁ? 部外者はどっか行ってろよ」
「部外者じゃねぇし。こいつは、俺の……大事な友達だよ」
少しの間のあと、朝陽くんの口から出た
『大事な友達』。
朝陽くんに避けられてる今、そう言ってもらえただけで私の心は救われる。
「あ、痛たたたっ」
何やら痛がる男の声が聞こえたと思ったら、朝陽くんが金髪男の腕を捻りあげていた。
「こいつに汚い手で、勝手に触ってんじゃねぇよ」
今まで聞いたことないほどの、冷たく低い声。顔を見なくても、朝陽くんが怒っていることが容易に分かる。
金髪男よりも断トツで背が高い朝陽くんが見下ろすと、かなりの迫力がある。
朝陽くんは、今にも飛びかかりそうな形相で男を睨みつけていて。
思わず私まで、背筋が震えてしまうほどだ。
「わ、わ、悪かったよ! もうしないから手を放してくれ!」
「分かったら、お前さっさと失せろ」
朝陽くんが捻っている手を解放すると、男は足早に逃げて行った。