俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


噴水広場まで手を引かれて戻る途中、朝陽くんと私の間に特に会話はなかった。


だけど……私にとってその無言の時間は、全然辛くなかった。


ただただ、久しぶりに朝陽くんと一緒に歩けて。そばにいられて、嬉しい気持ちのほうが大きかった。


噴水広場まで戻ってきたけど、七星はまだ来ていなかった。今で待ち合わせ時刻の10分前。


朝陽くんは、私の隣に無言でじっと立ったまま動かない。


「朝陽くん。あの、これから何か予定あるんじゃ……?」

「ああ。これからクラスの奴らとカラオケ」


あ、そっか。この前、木村さんに誘われてたやつか。そっか、今日だったんだ。また胸が、少しモヤモヤする。


「でも、もう少し時間大丈夫だから。新川さんが来るまで……俺もここにいる」


えぇ!?


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