俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「だけど、本当にブスなのは……茜のほうだった」


え? いきなり何?!


てっきりまた自分の悪口を言われるのかと思った私は、拍子抜けする。


「そう。ブスなのは、美月じゃなくて茜」


え、成宮さん。一度でなく二度も自分のことをブスって……! 一体どうしちゃったの!?


成宮さんは、中学の頃からメイクをしていて、同級生の中でも大人びていた。
人一倍見た目に気を遣い、努力していた。


自信家で、モデルみたいにスタイル抜群で美人な成宮さんが、そんなことを言うなんて……意外だった。


「茜は美月のことをいじめて嫌なこと沢山言って……ずっと性格がブスだったから。いくら見た目に気を遣っていても、性格がブスだとダメだよね」


私から視線をそらす、成宮さん。


「そんなんだから、朝陽くんに見向きもされなかったんだろうな」


成宮さんが、唇を噛んだ。


「……この前の階段の件は、さすがにやり過ぎたと思ってる。茜、カッとなって周りが見えなくなってた。下手したら、取り返しのつかないことになってたよね。あれで、ようやく目が覚めた。
それに中学の頃から、美月のこと沢山傷つけてたよね……ごめん」


今まで私に一度たりとも、ごめんの “ ご ” すら言ったことのなかった成宮さんが、私に初めて謝罪の言葉を口にした。


一体、どういう風の吹き回し?


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