俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


隣の席に座っていた一之瀬くんが、突然立ち上がった。


そして一直線に、私たちの様子を遠巻きに見ていた女子たちの元へと歩いていく。


「なぁ……今、『あの地味な古賀さん 』とか、『ありえない』って言ったの誰? 何様のつもり?」


一之瀬くんが怒っているのが、その声色から分かる。


「………」


騒がしかった教室が水を打ったように、しーんと静まり返る。


「今言った奴、古賀さんに謝れよ。つーか、俺が一方的に古賀さんのことを好きなだけだし。
文句があるなら、俺に直接言ってくれる?」


一之瀬くん……。


「なんか、俺のせい……でごめんな? 古賀さん」

「いえ、一之瀬くんは何も悪くないので」


一之瀬くんが申し訳なさそうな顔をして、こちらへ戻ってくる。


一之瀬くん、自分のことを言われたわけでもないのに。


まさか、女子に言い返してくれるなんて。


一之瀬くんの立場ってのも、あるだろうに……。


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