俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「古賀さん、ちょっと良いかな?」


あ。しばらくして教室へと戻ってきた美月に、他のクラスの男が声をかけている。


今まで以上に可愛くなった美月を、当然他の男たちが放っておくはずもなく。

今みたいに、美月は男に声をかけられることが増えた。


美月は頷き、声をかけた男と一緒に教室を出ていく。

それを見た俺は、空になったパンの袋を思いきり握りつぶす。


「あー。古賀ちゃん。また男に呼び出されてるね」

「ああ」


今、美月を連れ出した男って確か、野球部の……。


「また告白でもされんのかな? 今週だけでもう何人目? まぁ古賀ちゃん、急にびっくりするくらい可愛くなったもんな」

「……ああ」


「ちょっ、朝陽。何そのめっちゃ低い声! しかも一点をじっと睨みつけて……こわっ」


俺は今度は、空になったジュースの紙パックを力いっぱい握り潰した。


美月を好きだっていう男ども……美月がメガネをかけていた頃から好きだったって言うのなら、まだ許せるけど……。


どうせ最近の、特に可愛くなった美月を見て、好きになったっていう奴が大半だろ?


そう考えると、物凄く腹立たしい。


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