俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
◇運命の人
「俺、古賀さんのことが好きなんだ。俺と、付き合ってください!」
昼休みも残りわずかとなった頃。
『話がある』と、別のクラスの野球部の男子・田中くんに呼ばれて、私は人気のない体育館裏までやってきた。
そして今、私は田中くんに告白された。
「ごっ、ごめんなさい。田中くんの気持ちは、すごく嬉しいんですけど……」
私に差し出してくれている田中くんの右手が、微かに震えている。
せっかく勇気を出して、私に告白してくれてるのに。それを断るのは、すごく心苦しいけど。
「私は、他に好きな人がいるので……本当にごめんなさい」
私は、朝陽くんが好きだから。
「そっか。古賀さん他に好きな人がいるんだ。呼び出してごめんな?」
田中くんは私に軽く会釈すると、落ち込んだ様子で校舎のほうへ、とぼとぼ歩いて行く。
ああ、田中くん。あんなに肩を落として。
なんだか、申し訳なさでいっぱいになる。
「ふぅ……」
私は、どんよりと薄暗い灰色の空を見上げる。
もうすぐ次の授業が始まるし、私も教室に戻ろう。
そう思い、歩きだしたとき……。
「はぁ……。やーっと見つけた」