俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
なんか、慌てて走って行ってしまった。
彼の名前、聞きそびれちゃったな。
『高校でまた会おうね』か。
そう言われたら……頑張って、何がなんでも合格しなきゃ会えないじゃない。
私は手のひらにある、さっき彼がくれた残りのもうひとつの飴を見つめる。
『諦めたら、何事もそこで終わりだけど。諦めない限り、可能性はきっとあるし。それを覆すことだってできる』
彼の言葉と、あの太陽みたいな笑顔。
そして……この飴のおかげで、不思議と元気が出たよ。
──彼からもらった飴は、この日から私にとっても “ 元気が出る飴 ”となった。
そして……私のお守りにもなった。
この飴を、自分でも定期的に買うようになって。普段から、持ち歩くようになった。
受験のことで挫けそうになったとき、この飴を眺めて、口に含んで。
あの夏の日のことを、思い出して頑張った。