俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
私は隣の席の男の子を、凝視する。
うーん、似てるような気もするけど……どことなく違う?
隣の彼は、ウェリントン型の黒縁メガネをかけていて。こちらから見ても分かるほど、かなり緊張している。顔が真っ青だ。
そして、入試だから当然だけど耳にピアスはしていない。
夏休みに出会ったあの男の子は、緊張とかしなさそうだし。こういう本番には、強そうなイメージ。
だから多分、別人だろうなと思い、私は隣の彼から視線を単語帳に戻した。
でも……さっきから頭をおさえて、明らか具合が悪そうにしている彼を、見て見ぬふりはできなくて。
ふと、微力ながらも何か彼の役に立ちたいと思った。
隣の席の彼に、あのときの恩を送ろう。そう思った。
そして、私は余計なお世話かもと思いながらも、思い切って隣の彼に声をかけたのだった。
「あのー、いきなりすいません。大丈夫ですか?」