俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「いや、あの……美月の話のその、夏休みに模試の結果に落ち込んでるときに、声をかけてきた男って……多分、俺だわ」
え?
「そうそう。中3の頃、そういうことあったわ。その『元気が出る飴』の話を聞いて、完全に思い出した。それ俺の話だ、って思った」
……うそ。朝陽くんが、あの夏休みのときの男の子?
何、その予想外の事実。漫画やドラマみたいな展開は。
もちろん嬉しいけど……なんだか、話がうまく出来すぎてる気がして、思考がすぐに追いつかない。
「ほんとに? 朝陽くん」
「ほんと。ほら、これが中学3年のちょうどその頃の俺の写真」
朝陽くんが、私にスマホの写真を見せてくれる。
あ。写真に写るその人は、私の頭の中に微かに残る、あの男の子そのものだった。
黒髪にピアス。今よりも少しあどけない笑顔の、かっこいい男の子。
「入試のときに、美月からその飴をもらったとき、懐かしいなって思った。
まさかのここで、ある意味で本当の再会になったな」