俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


朝陽くんが、自分の頬を指さしている。


「俺はできれば、ここが良いけど」


朝陽くんが今度は自分の唇をちょんと指さし、私と同じ目線の高さになるようにしゃがむ。


人目が気になるところだけど……。


今日は朝陽くんの誕生日……だし。やっぱり、喜んで欲しいから。


今日は……特別。


「朝陽くん、お誕生日おめでとう」


私は背伸びをし、朝陽くんの頬に軽く触れるだけのキスをした。


さすがに外だから、口はちょっと照れる。


ほっぺが精一杯。


「ありがとう、みつ。つーか、今日はポニーテールじゃん。似合ってる。めっちゃ可愛い」


朝陽くんが愛おしげに、私のひとつに束ねた髪の毛に触れてくる。


「みつ。もしかして今日のために、頑張ってそんなにも可愛くしてきてくれたの?」


くすりと笑って、朝陽くんはすくい上げている私の髪にキスを落とす。


ストレートな褒め言葉に、嬉しさと同時に、恥ずかしさがこみあげてくる。


あまりにも朝陽くんが上から下まで、じっくりと私を見てくるから。なんだか身体がムズムズする。


「でも……あんまり可愛くされると困る」


え?


< 319 / 341 >

この作品をシェア

pagetop