俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「見て見て、朝陽くん。可愛い〜!」


気を取り直して次は、ペンギンのエリアにやって来た。


目の前でペンギンが、陸の上をよちよちと歩いている。


ああ、可愛い。見てるだけで癒される……。


そういえば朝陽くん、いつもより口数が少ないけど……楽しんでくれてるかな?


さっきから私ひとり、はしゃいでる気がする。


せっかくの誕生日なのに、私の行きたい所に付き合ってもらっちゃったし。


『みつの行きたい所が、俺の行きたい所』って、朝陽くん言ってたもんなぁ。


ふと視線を感じてペンギンのほうから顔を逸らすと、朝陽くんが私を見ていた。


真っ直ぐ私へと注がれた、朝陽くんの柔らかな眼差しにドキッとする。


「朝陽くん……楽しんでくれてる?」

「うん、もちろん。ただ、ペンギンを見て喜ぶみつが可愛くて見てた」


……う。また、そんなことを直球で……!


「俺はみつと、こうして一緒にいられるだけで幸せだから。今、めっちゃ楽しいよ」


思ったことをストレートに言ってくれて、ドキッとする。


私も、朝陽くんと一緒で幸せ。


朝陽くんが、後ろから私を抱きしめてくる。


背中に感じる、朝陽くんの温もりが心地よい。


朝陽くんにバックハグされたままで、私たちはペンギンを見つめる。


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