俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
しばらく歩いて行った先は、深海魚のエリアで。
辺りは一段と薄暗く、ちゃんと注意して歩いていなかった私は、段差につまずいて転びそうになる。
「ったく。だから、言っただろ? バカ」
つまずき転ぶ寸前で、朝陽くんが後ろから私を支えてくれた。
これじゃあほんとに、さっき滑って転んだペンギンと一緒だ。朝陽くんの言ったとおり。
「大丈夫か?」
「う、うん。ごめんね?」
「これだから、放っておけないんだよ。
ほんと、目が離せない。もう一人で勝手にどこか行くなよ」
朝陽くんが、後ろから私をぎゅっと強く抱きしめる。
「言っとくけど。子どもみたいにはしゃぐみつも、間抜けな美月も。気取ってなくて、ぜんぶ素のままで良いと思う。どんな美月も好きだ」
「朝陽くん……」
朝陽くんは私の手を取ると、ひとつひとつしっかりと互いの指を絡める。
「 今日はこの手、俺から離すの禁止だから。もう俺のそばから、離れんなよ?」