俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
ふと、一之瀬くんのほうを見ると目が合ってしまった。
──ドキッ。
太陽みたいにキラキラとした笑顔を向けられて。なぜか胸がドキッと弾んだ。
もう! 何をドキッとしてるの、私!
けど、この太陽みたいな笑顔を見るとどこか懐かしい気がするのは、どうしてだろう?
──キーンコーン……。
あ、予鈴だ。これでようやく、一之瀬くんから解放される。
「それじゃあ、古賀さん。またね」
そう言って一之瀬くんは私にヒラヒラと手を振ると、隣のクラスへと戻っていく。
果たして、私たちに "また" なんて、あるのだろうか?
できれば、女子ファンの多い一之瀬くんとは、今後なるべく関わりたくないのが本音だけど。
私は結局1ページも読み切れなかった文庫本を、机の中にしまった。