俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「いってきまーす」
家から外に出ると、太陽の眩しさに思わず目をつむった。
新学年スタートの日にふさわしい、スッキリと晴れ渡る空。
ポカポカと温かい、春の陽気。
風が吹くたびに、遅咲きの桜の花びらが舞い散る。
冬が終わって、春が来た! って感じる。
今日から新しい日々が始まることに、胸が高鳴る。
電車通学の私は、家の最寄り駅から乗り換えなしで、5つ先の駅まで電車に揺られる。
そして駅から高校までは、徒歩10分。
通学電車で読んでいた文庫本の続きがどうしても気になった私は、本を読みながら歩いていた。
視線は真っ直ぐ文庫本にのみ集中し、前を一切見ずに歩いていた私は、自分の前に立っていた誰かにぶつかってしまった。
「あっ、すいません」
「いえ……」
そう言って、私のほうへと振り返った人は……。