俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
私と一之瀬くんは、同じ中学出身でなければ、いま同じクラスっていうわけでもない。
だから、今まで喋ったこともないし、一之瀬くんとの接点なんて何もないのに……。
「あの、一之瀬くん……もしかして人違いでは?」
「人違いじゃないよ。古賀 美月ちゃん。俺は、キミのことが好きだ」
うそ。王子様、私の名前知ってくれているの?
でも、人違いじゃないのなら……。
「一之瀬くんが、私を好きだなんて……。
ひょっとして、罰ゲームですか?」
きっと一之瀬くんが、何かのゲームに負けて、罰ゲームで私に告白しろって言われたんだ。
そうでないと、今まで何人もの女の子の告白を断っている王子様が、私に告白するなんてありえない。
うん、きっとそうだ。
「いや、俺は高校入試のときから、キミのことを……」
「いやいや、そんな……。一之瀬くんが、私を好きだなんてありえない。どうせ遊びなんでしょう?」
今まで沢山の女の子を振ってきた、モテ男子からの " 好き " だなんて、そう簡単に信じられるわけがない。
私は、逃げるように中庭をあとにした。