俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


「朝陽くーん!」


明るい髪の派手な女子2人組が、一之瀬くんのところへやってきた。


「ねぇ、朝陽くん。今日部活休みなら、茜たちと一緒に帰らない?」


うわ、成宮茜だ……。



「こんな地味でブスな子。 “ じみつき ” なんて、放っておいてさ。早く行こ?」


『こんな地味でブスな子』
『じみつき』って。


わざわざ言う必要ある? 高校生になってもまだ、こんなふうに言われるなんて。


「きゃはは。茜、じみつきって何!?」


成宮さんの隣にいる金髪ギャルさんが、さも可笑しそうに手を叩いて笑う。

名前は確か、栗原(くりはら)さんって言ってたっけ?


中学の頃に私は、地味と美月を合わせて、“ じみつき ”と一部の人に呼ばれていた。


高1のときは、成宮さんと違うクラスだったから、ほとんど話す機会がなかったけど。

成宮さん、中学の頃と何も変わってない。


それはたった今、苦手な人がそばにやってきて、この場から逃げようとしている私にも言えることだけど。


どうしよう……。成宮さんの顔を見ると、どうしても中学のときのことが頭に浮かぶ。


やっぱり無理……!


成宮さんから少しでも離れたくて、私はその場から離れようとした。


なのに……。


< 61 / 341 >

この作品をシェア

pagetop