俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「朝陽くーん!」
明るい髪の派手な女子2人組が、一之瀬くんのところへやってきた。
「ねぇ、朝陽くん。今日部活休みなら、茜たちと一緒に帰らない?」
うわ、成宮茜だ……。
「こんな地味でブスな子。 “ じみつき ” なんて、放っておいてさ。早く行こ?」
『こんな地味でブスな子』
『じみつき』って。
わざわざ言う必要ある? 高校生になってもまだ、こんなふうに言われるなんて。
「きゃはは。茜、じみつきって何!?」
成宮さんの隣にいる金髪ギャルさんが、さも可笑しそうに手を叩いて笑う。
名前は確か、栗原さんって言ってたっけ?
中学の頃に私は、地味と美月を合わせて、“ じみつき ”と一部の人に呼ばれていた。
高1のときは、成宮さんと違うクラスだったから、ほとんど話す機会がなかったけど。
成宮さん、中学の頃と何も変わってない。
それはたった今、苦手な人がそばにやってきて、この場から逃げようとしている私にも言えることだけど。
どうしよう……。成宮さんの顔を見ると、どうしても中学のときのことが頭に浮かぶ。
やっぱり無理……!
成宮さんから少しでも離れたくて、私はその場から離れようとした。
なのに……。