俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「美月、ちょっとあそこに座ろう」
学校を出て少し行ったところにある、遊具がブランコだけしかない小さな公園。
そこのベンチに、真ん中に人が1人座れるスペースを空けて2人で座る。
公園には、私たちしかいない。
ベンチは日当たりが良くて、ポカポカと温かい。
「なぁ。美月、メッセージアプリやってる? 良かったら、交換しよう。ID教えてよ」
一之瀬くんが、スマホの画面を見せてくる。
「……良いですよ」
「やった! 嬉しいなー」
一之瀬くんのことだから、どうせ私が嫌だと言っても、言葉巧みに交換させられるのだろうと思った私は、要求に素直に応じた。
メッセージアプリの友だちリストに、『あさひ』が追加される。
あ。アカウントの画像、サッカーボールなんだ。
現実の友達が少ない私は、当然アプリの友達も少ないから……。
『新しい友だち』のところに、一之瀬くんの名前が表示されているのを見て、本当に友達が1人増えたみたいで嬉しく感じた。