俺が好きなのは、ずっとお前だけ。

さっきから何なの、もう。こんな至近距離で、強引に見つめ合わされて。


イヤなはず……なのに。きっと遊ばれているだけなのに……。


どうしてか、一之瀬くんを見てしまう。


一之瀬くんのペースに、またのせられてしまう。


「もし、私が嫌……って言ったら？」


でも、負けたらダメだ。


「うーん。そうだなぁ。ショックだけど、めげずに頑張って、俺のこと好きにさせてみせる……かな？　前に『惚れさせてやるから』って、言っただろ？」


「……そうだったかな？」


本当は、覚えているけど。


「えー？　また、忘れたの？
本当に忘れん坊さんだなぁ、美月は」


忘れん坊さんって、何それ。

普通だったら寒気がしそうなところだけど、一之瀬くんに言われたら、不思議とそんなことがない。

イケメンだから？　それとも……？


「良いよー。俺、何度だって言うからさ」


一之瀬くんの言葉はどこかふわっとして、軽く聞こえるときも多々あるけど。


最近、分かったんだ。


「改めて……美月。お前が俺のことしか考えられなくなるくらい、惚れさせてやるから」


こういうときの一之瀬くんはいつも、本気の目をしている。