悪夢
朝、自室のベッドの中で目を覚ました。
見飽きた天井、いつもと変わらない朝日。
身体を起こし枕に触れると、少し湿っている。
「…。」
また寝ている間に泣いたのか。
ここ最近、毎日のように悪夢を見る。
それは、恋人の彰に振られる夢。
『ごめん、別れてほしい。他に好きな人ができた。』
彼の声で再生されるセリフ。
絶対に聞きたくない言葉。
通勤電車に揺られながら、何度脳内で繰り返されただろう。
私、佐々木唯と、恋人の星野彰は会社の同期だ。
内定式で初めて顔を合わせたのをきっかけに仲良くなり、
2年ほど前、交際がスタートした。
人事課の彼と、総務課の私。
仕事をするフロアも違うし、なかなか時間も合わないけど、
私たちなりに愛を育んできたつもりだ。
今の会社に入社して4年目。私も今年で26歳になる。
結婚した友人もたくさんいるし、
私もそろそろだったりするかななんて思い始めた頃だった。
2ヶ月前の人事異動で人事課にやってきた、後輩の宮本さん。
彼女と彰が、付き合っているという噂が社内で流れ始めた。
その頃から私は、悪夢を見るようになったのだ。
「星野くんって、宮本さんと付き合ってるらしいよ。」
「星野くんって人事課の?
宮本さんって星野くんの2年後輩だっけ?」
「そうそう。星野くんが宮本さんの教育係になったらしくてさ。
ほら、宮本さんって少しおっとりしててトロいとこあるでしょ?
それで星野くんが手取り足取りしてあげてるみたいなの。
そこから急接近して付き合い始めたらしい。」
「へぇ!まぁ宮本さんってかわいいし男にモテるもんねー。
てことは、総務課の佐々木さんとは別れたの?」
「みたいだねー。」
更衣室に入るとどこからか聞こえてくる噂話。
別れてない!!
思わず叫びそうになったところで、ぐっと堪えた。
ただの噂。気にするほどのことじゃない。
でもなぜだか怖い。
もし噂が本当になったら?
悪夢が正夢になってしまったら?
そう思うとまた涙が溢れそうになる。
見飽きた天井、いつもと変わらない朝日。
身体を起こし枕に触れると、少し湿っている。
「…。」
また寝ている間に泣いたのか。
ここ最近、毎日のように悪夢を見る。
それは、恋人の彰に振られる夢。
『ごめん、別れてほしい。他に好きな人ができた。』
彼の声で再生されるセリフ。
絶対に聞きたくない言葉。
通勤電車に揺られながら、何度脳内で繰り返されただろう。
私、佐々木唯と、恋人の星野彰は会社の同期だ。
内定式で初めて顔を合わせたのをきっかけに仲良くなり、
2年ほど前、交際がスタートした。
人事課の彼と、総務課の私。
仕事をするフロアも違うし、なかなか時間も合わないけど、
私たちなりに愛を育んできたつもりだ。
今の会社に入社して4年目。私も今年で26歳になる。
結婚した友人もたくさんいるし、
私もそろそろだったりするかななんて思い始めた頃だった。
2ヶ月前の人事異動で人事課にやってきた、後輩の宮本さん。
彼女と彰が、付き合っているという噂が社内で流れ始めた。
その頃から私は、悪夢を見るようになったのだ。
「星野くんって、宮本さんと付き合ってるらしいよ。」
「星野くんって人事課の?
宮本さんって星野くんの2年後輩だっけ?」
「そうそう。星野くんが宮本さんの教育係になったらしくてさ。
ほら、宮本さんって少しおっとりしててトロいとこあるでしょ?
それで星野くんが手取り足取りしてあげてるみたいなの。
そこから急接近して付き合い始めたらしい。」
「へぇ!まぁ宮本さんってかわいいし男にモテるもんねー。
てことは、総務課の佐々木さんとは別れたの?」
「みたいだねー。」
更衣室に入るとどこからか聞こえてくる噂話。
別れてない!!
思わず叫びそうになったところで、ぐっと堪えた。
ただの噂。気にするほどのことじゃない。
でもなぜだか怖い。
もし噂が本当になったら?
悪夢が正夢になってしまったら?
そう思うとまた涙が溢れそうになる。
< 1 / 2 >