諦 念
「ふざけるんじゃないわよ。
あんたね。7年だよ。
7年も栞那と付き合っていて
別れたくないから?
バカじゃないの。
栞那がそんな人間か、そうじゃないか
あんたが一番わかっているよね。
あんた、見たいな男に
7年も好きでそばにいた栞那が
可哀想でたまらないし
女の7年は、長いのよ。
貴重な時間なのよ。返しなさいよ。
栞那の時間を。
綺麗にしてから返しなさいよ。
できもしないくせに
浮気して他の女を妊娠させるなんて
あなた、腐ってるわ。」
と、涙を流しながら怒鳴る明奈に
「明奈ちゃん、ありがとう。
栞那の為に。」
と、栞那の父・実は悲しみの中に
優しい声で言い
そして二人を見て
「君は、本当に栞那をきちんと
見ていたのだろうか?
ありもしないことに踊らされて
明奈ちゃんが言うように
男として情けない限りだ。
だが、そんな君を栞那は
好きだったのだろう。
でもな、栞那は私と妻の大切な
大事な娘なんだよ。
君やあなたから、陥れられて傷つけられる
覚えはないんだ。
栞那の7年を返してくれ
元気で明るい栞那に。
元通りにして返してくれ。
今すぐにだ!!!!」
ど、テーブルをバンと叩いた
ひゃっ、と田中の声が漏れる。
「君やあなたが栞那にした事を
私は許す事は出来ない。
君には、7年間分の栞那の時間と
慰謝料を請求する。
月々とか許されない
1日足りとも、君に関わりたくないから
そしてあなたには
人を騙した上、写真の捏造とか
人として、母親になる人として
あり得ない。
ストーカーとして
警察に連絡をします。
罪は、軽いものでしょうが
名誉毀損は、法的な処置をとります。
あなたは、やってよいこと
悪いことがわかってないようですから
きちっと、わかって欲しい。
私からは、以上です。」
と、父・実は言うと
「栞那、明奈ちゃん、ごめんな。
帰ろうか。」
と、言って
栞那を支えて専務達に頭を下げてから
会議室を後にしようと
栞那が出るとき
「栞那!」
と、叫んだ光輝に
栞那は、ビクッとしたが
父・実が
「良いのか?」
と、訊ねると
栞那は、首を横にふり
専務、神戸支店長、十川に
「お忙しい中、申し訳ありませんでした。」
と、頭を下げてから父と明奈と
会議室を出た。