諦 念
▪▪十川①side
少し無理をしたか·····と
思った時には遅く
寝込んでしまった。
何とか病院に行くと
インフルエンザとの事だ。
薬を貰い帰宅したが
そのまま倒れた。
あ~、床が冷たくて
気持ち良いと思った時には
意識を手放していた。
何か声が聞こえる····
なんだろう·····
落ち着く······
頬をパチパチ叩かれて
何だ?痛い?目を開けないと
やっと、開く····と····
« かん····な····?····· »
「十川さん、ちょっとだけ
力を貸してください。」
と、真剣な顔をして言う栞那に
「お前の····ため···ならっ····」
と、体を起こす
重たい······うまく動かない
「寝室は?」
と、訊かれて
指を指す
廊下を引かれて
ベッドまで少し歩かされ
ベッドに座らされ
上着を脱がされ
横にされる。
会社に行く格好だった為
ネクタイを取られ
ワイシャツを脱がされ
スラックスも脱がされた。
寒い·····熱い····わからない······
おでこに何か張られ
冷たい····気持ち····いいっ·····
「39度5分です。」
「水分を飲んで薬を飲みます。」
と、言われて体を少しだけ起こされて
水分をストローでのむ
そのまま、薬を飲まされて
また、ストローを使いのむ
「きついですね。
横にしますね。」
と、寝かされる。
「十川さん。すみません。
着替えを取りますね。」
ごそごそ、聞こえる。
どのくらいたったのか
「十川さん。すみません。
汗を拭きます。
着替えをします。」
タオルで顔から首
腕を拭かれて
肌着を脱がされ
背中と胸、お腹を拭かれて
シャツを着せられ
足を拭かれて
「すみません。下は、自分で。」
と、言われて
着替えを置いて部屋をでた。
脱いで着替える。
ぼぉーっとしていると
シーツを変えられて
寝かされた。
おでこのシートを変えられて
ヒヤリとするが
サラサラのシーツが
気持ち良い
そのまま、眠る。
どのくらい間があいたか
また、一連の動作を繰り返す
その後、水分を取り
薬をのむ、解熱剤。
何度か繰り返した····ような····
目を覚ますと
俺のベッドに頭をのせて
眠る栞那が······»
驚いたが·····
昨夜のは、本物?
栞那の頭をそっと撫でると
ハッと目を覚ます栞那に
「すまない。看病させて。」
と、言うと
「私が、勝手にしたのです。」
と、微笑みながら言う。
そのまま、熱をはかられて
37度5分。
体を拭くタオルを渡されて
着替えをするように言われた。
その間に栞那は、
食事を作ってくれるそうだ。
ベッドに運んでくれた
お粥を食べ
桃缶を少しだけ
後は薬と水分を取る。
少しだけ我慢して下さいと
言われて、シーツを変えてもらう。
あっ、洗剤の匂いだ。
再び横になるように言われた。
「本当に、何から何まで
すまない。ありがとう。
洗濯まで。三瀬も疲れてるのに。」
「何を言ってるのですか。
私は、ずっと助けて貰いましたよ。」
と、言う。
帰さないと行けないのは
わかっている。
こいつも疲れているし
インフルエンザが
移っている可能性もある
だが·······
「一度、帰りますね。
心配だから、舞い戻りますよ。
良いですね。」
と、言われて
部屋の鍵を渡す。