諦 念

▪▪十川家挨拶


父に朝陽さんと報告をした翌日に
朝陽さんの実家に伺う。

十川家に着くと
お母様が対応してくれて
お母様の案内で
リビングに入る。

そこには、朝陽さんに似た男性が
座っていた。

朝陽さんは、お父様とお母様に
「三瀬 栞那さんです。
俺は、栞那と結婚をします。
栞那、父の春樹と母の園子だ。」
「初めまして
三瀬 栞那と申します。
朝陽さんの下で働かせて頂いています。
宜しくお願い致します。」
と、頭を下げると
「良くいらっしゃいました。
どうぞ、お座り下さい。」
と、お父様に言われて
二人で腰かける。

お母様に珈琲を入れて頂く。

私は、お持ちしたお菓子をお母様に
お渡しをすると喜んで頂いて
「今、一緒に頂いても?」
と、言われて
「はい。」
と、答えた。

「正直、朝陽は結婚しないと
あきらめていました。」
と、言うお父様に
「お見合いの話を頂いても
全く、相手にもしてくれなくて。」
と、言うお母様
「だけど、こんなに綺麗な
お嬢さんがいたからなのね。」
と、お母様に言われて
そうなの?と朝陽さんを見ると
「だから、言っただろ。
栞那に一目惚れしたから。」
と、言う朝陽さんに
「ありがとう。」
と、言うと
「どういたしまして。」
と、微笑んでくれる。

それからは、式場の話や
私の父の話をした。

朝陽さんのお父様は、
パイロットされていたが
今は、地上勤務と若手の育成を
されていると
お母様は、元CAをされていたとか。

朝陽さんは、お爺様が建築士で
両親が勤務でいない間は、
お爺様とお婆様に
育てられたらしく
そのときに、お爺様の仕事を見てきて
面白いと思っていた
と、話してくれた。

今は、そのお爺様もお婆様も
亡くなられたと。

お会いしてみたかった。
この十川朝陽を生み出した方を。

お昼は、お母様のお手伝いを
させて頂いて四人で頂く。
お母様に朝陽さんの好きな物を
沢山お聞きして、味も習う。
お母様は、
「栞那ちゃんが作るものなら、
何でも美味しいはずよ。」
と、言ってくれたが
私の知らない朝陽さんの
お袋の味を知りたかったから·····

沢山、お話ししてから
朝陽さんの実家を後にした。

「次、会えるのを
楽しみにしていますね。」
と、お父様、お母様に言って貰えて
私の心も温かく、
「はい。」と、答えると
朝陽さんも嬉しそうに笑ってくれた。
< 27 / 49 >

この作品をシェア

pagetop