きっと100年先も残る恋
小さな美術館につく。
ギャラリーというか。
入り口に座る女性に大人2枚、と高松雄介が言ってチケットを貰う。
美術館に来たら、手は離されてしまった。
一緒にいるわけでもなく、それぞれ観たいものを観る。
そんな時間。
会話することもなく、時折彼はメモをしていた。
私は、写真が一体何を言わんとしているのか、なんでこの写真展が「呼吸する街」なのか、さっぱり理解できなかった。
高松雄介は食い入るように写真に見入っている。
ただ一枚、誰もいない朝の東京の街をおじいさんと柴犬が散歩している写真が目に入る。
おじいさんにとっては生まれ育った下町で、発展とか関係なくここで成長して年老いて、勝手に時間が過ぎていく、そんな物語は伝わってきた。
背景とのギャップがいい。
ふわりと隣に穏やかな体温を感じた。
「俺もこの写真好き」
何も言ってないのに、その人は言った。
目が合う。
目が合ったけど、それ以上のことは言わないで、またサラリと私の隣を去っていく。
分からなくてもいいけど、近いところで感じ合えたら、きっとずっと楽しいのかもしれない。
私の心がククッと踵を上げて背伸びし始める。
彼の見ている感覚で、世界を見たいと思い始めた。
ギャラリーというか。
入り口に座る女性に大人2枚、と高松雄介が言ってチケットを貰う。
美術館に来たら、手は離されてしまった。
一緒にいるわけでもなく、それぞれ観たいものを観る。
そんな時間。
会話することもなく、時折彼はメモをしていた。
私は、写真が一体何を言わんとしているのか、なんでこの写真展が「呼吸する街」なのか、さっぱり理解できなかった。
高松雄介は食い入るように写真に見入っている。
ただ一枚、誰もいない朝の東京の街をおじいさんと柴犬が散歩している写真が目に入る。
おじいさんにとっては生まれ育った下町で、発展とか関係なくここで成長して年老いて、勝手に時間が過ぎていく、そんな物語は伝わってきた。
背景とのギャップがいい。
ふわりと隣に穏やかな体温を感じた。
「俺もこの写真好き」
何も言ってないのに、その人は言った。
目が合う。
目が合ったけど、それ以上のことは言わないで、またサラリと私の隣を去っていく。
分からなくてもいいけど、近いところで感じ合えたら、きっとずっと楽しいのかもしれない。
私の心がククッと踵を上げて背伸びし始める。
彼の見ている感覚で、世界を見たいと思い始めた。