きっと100年先も残る恋
「映画何か観たいのないの?」

今度は高松雄介の方から聞いてきた。

「ないけど、ちょっと調べてみるね」
「うん、俺も」

そんなこと言ってる間にもどんどん日は暮れていく。

17時半。
すごく中途半端な時間。

最初に彼が立ち上がる。

「家まで送るよ」

そう言われて、ああ、もう今日のデートはこれで終わりなんだ、と落ち込む自分がいた。

夕ご飯くらい、一緒に食べたかったけど、もしかしてこれが夕ご飯のつもりだったのかな。

何も言い出せなくて帰路につく。

「家帰ってレポート書かなきゃ」

彼はそう呟いた。

「明日朝から撮影だし」

そう続く彼の言葉は、なんとなく言い訳のようにも聞こえる。
と思ったらこっちを見た。

「今度は何もない日にする」

決意のような言い方。

同じことを考えてたのかもしれないと思って心がむず痒くなった。

「うん、やっぱり1日はあっという間だね」

そう応えて気付く。

今まで付き合った人とは1時間でも長く感じていたな。

あれは何だったんだろう。

アパート前で「じゃ、また」と別れた。

早く、次の「また」が来てほしい。

手を振りながらそう思った。
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