きっと100年先も残る恋
「映画、面白そうなのやってないね」

高松雄介から突然そんな連絡が来た。
映画をあれだけ調べる調べると言ったのに、調べた結果これって驚く。

私も私で、映画館ごとの上映スケジュールを眺めては、乗り気になるものがないなと思っていたところだった。

んー、やっぱりそうだなー、と考えていると「今電話してもいい?」と連投されてきた。

「いいよ」と打ち返す。

すぐに既読になって電話が掛かってきた。

「もしもし」
「もしもし」

受話器を挟んで聞く声は、確かに彼の声ではあるんだけど、躊躇うほど別人のような響きだ。

本当に高松雄介かな、なんてこと思っちゃう。

はじめての電話。

「なんかさー、あった?」

このテンションで聞かれたら、あったとしてもそう言えない。

「ピンとくるものないね」
「そうだよねー」

テンションが低い。
まあ、これが彼の普通なんだと思うけど。

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