きっと100年先も残る恋
「まあ、とりあえず日にち決めよ」

向こうの声がそう言ってきた。

「うん、私、土曜日ならいつでもいい」
「土曜か」

少しの無言の時間が過ぎる。
確認してるんだろうか、紙をぴら、ぴら、とめくる音が少しする。

「あー、俺再来週ならいいな」

少しテンションの上がった声になった。

「いいよ、再来週にしよ」

私もそう答える。

そして日程が決まった途端、また静かになる。
向こうで紙をヒラヒラする音が続く。

「この二週間って長いよね」

低い声だなあ。

しみじみと聴き入ってしまう声。
っていうか、ちゃんと耳を傾けないと聞き落としてしまう。

どんな表情でこの言葉を言ったんだろう。

きっと自分の爪をいじったり、壁紙の模様を見たりしながら言ってるのかな。

「え、そう考えてるの俺だけ?」

電話の向こうで笑う。

「私も長く感じるよ」

やっとそう答えると、「早く反応してよ」と優しく笑った。
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