きっと100年先も残る恋
「6」
「6?へえ」

ちょっとだけ驚いてみせてるけど、「ふうん」くらいに思ってる顔。

「でも、付き合ったって言えるのか分からない。何もしてないし」

私はまだ何も知らないままだ。
少し言葉の意味をかみ砕くような顔をして、高松雄介は私の目をジッと見ている。

「まだなの?」
「うん」

なんの意味の「まだ」だろう、と思いながらそう答えた。

実際、大体「まだ」だった。

彼は相変わらずジッと見てきていたけど、私の方がなんとなく視線を逸らした。

別に、してないことは恥ずかしくもない。
むしろ、汚らしいイメージでいっぱいで、今まで誰かと進んでする気には一切なれなかった。

「雄介さんは?」

質問を返す。

「あー」と宙を見上げて指をゆっくり確かめるように折りたたんでいく。

いち、に、さん・・・

私も一緒になってその指を数えてしまう。
薬指まで折られたところで、諦めたように笑った。

「よく分からないから、とりあえず4人」

とりあえず4人。

その括りに、女関係の緩さを感じた。

「で、ここに矢野ちゃんが入って5」と笑う。

「え?私入っちゃうの?」
「え、入らないの?」

私たちは冗談のように微笑み合った。
視線が交わる。

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