きっと100年先も残る恋
彼の視線が、私の目から唇に移動する。
今、唇見てる、とちゃんと分かるくらい。

気付かないほどの微力で静かに私の腕を引く。
私にすべての判断を委ねるような加減。

このまま流れに身を任せた方がいいのか、まだ早いからやめた方がいいのか、気持ちがマーブル模様みたい。

自然な引力に誘われたように彼の肩にもたれたところで、やっと目が合う。

右の瞳と左の瞳を交互に見る私の目は、きっと「いいよ」って言ってる。

そして多分、それは彼にも伝わってる。

視線の意図を汲んだように、高松雄介は私にキスをした。

公園の雑木林の影。
きっと誰も見ていない静かな空間。

「付き合ってください」

目を開けた時、低い声が耳に届いた。
私は何も言わずに、ただ頷いた。

それが付き合った日のこと。
11月29日、いい肉の日。

「なんて呼ばれたい?」
「英子」
「じゃあ、英子、雄介で」

私たちは呼び合い方を決める。

「今日はまだ帰らなくていいね」

そんな声が二人だけの空間に静かに響いた。

私が雄介の目を見ると、照れたように笑って背ける。
彼も私のこと、好きなんだと分かった。
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