きっと100年先も残る恋
雄介の腕に絡むように並んで降りると、さすが、かなりの混雑ぶりだった。

「俺、行ったことないけどみんなについていけばいいのかな」

私たちは特に調べるわけでもなく、人混みに流されるように歩く。

雄介は歩くのがすごく遅いからズンズン抜かされる。

「ついていく気ある?」

そう聞くとニヤニヤして「あるある」と言う。
絶対ない。

あっという間に人混みの背中が遠くなる。

「大丈夫、大丈夫、着くから」

雄介はそう言う。

私は甘えるように雄介の腕に体重をかけて歩くと、「重いよ!」と笑ってきた。

「だって歩くの遅いんだもん」
「そんな寄られたら余計遅くなるでしょうよ、ちゃんと歩いてよ」
「どっちがよ」

恋人繋ぎしてる指も、軽く喧嘩するように互いの指の腹をタップし合う。

ボンヤリと明るい光が見えてきた。

「ほら、ついた」と雄介が得意げになって言う。

「ただ駅からまっすぐ歩いただけじゃん」
「すーげーきれー」

雄介は私の言葉を無視して喜んだ。

街路樹がオレンジ色の光を纏っている。
花壇がブルーの光でチラチラと点滅を繰り返しながら、模様を描く。

すごい。
すごく綺麗だけど。

「こういうの、地元でもある」

私はつい地元の駅前のロータリーを思い出していた。

「デートでそういうこと、言っちゃだめ」
「ごめん」
「女の子は、喜んでないとだめなの」

雄介が笑いながら私を見下ろす。

そして「分かるけどね」と付け加えた。
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