きっと100年先も残る恋
一通りイルミネーションを見終えると、近くの商業施設の屋上庭園に向かう。
エレベーターのドアが開いた時、オレンジの煌めきとドーム型テントが点々と並ぶ景色が広がった。

屋外ではあるけど、ストーブもあってそんなに寒くない。

「あったかいね」

そう言いながら対面するように、座り心地のいい椅子に腰掛ける。

ドーム型テントはほとんど白い布で覆われているけど、一部透明になっていて外の景色が眺める。

その窓から庭園を彩るシンプルなイルミネーションが覗いた。

テーブルの中央でキャンドルが揺れる。

「一応コースで予約しちゃった」
「ありがとう」

慣れない雰囲気に、雄介の緊張感も伝わってくる。

「普段こんなとこで全然食べないけどね」

目が合う。

「クリスマスだからね」と続ける。

「予約してくれてありがと」
「いーえ」

このテーブルを挟んだ距離がもどかしい。
多分いろいろお店を探してくれたんだと思うと、愛おしさでいっぱいになった。

カラフルな野菜が散りばめられたプレートからディナーが始まる。

農園レストランなようで、朝採り野菜との説明がある。

「雄介、来なそうだね」
「だから言ったでしょ」

雄介は私に気を使って、最後までお酒を飲まなかった。


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