きっと100年先も残る恋
彼はすぐにタブレットを出した。

私の視線に気付いたのか、「ああ」と反応する。

「これ、今日の授業のレジュメ。今日1コマと5コマだけある最悪な日で」

そう笑う。

「1と5」
「最悪だよね」

時計を見た。
13時。

「じゃあ今まで暇してたんですね」

そう言うと、少し答えにくそうな視線になる。
口が言うのを躊躇ってるような、頭の中がグルグル回ってるような。

そして軽く思い切ったような口調で言った。

「バイトしてた、今まで」
「バイト?」
「あー、俺、簡単なモデルやってるんですよ」

その言葉に私は驚かなかった。
納得というか、やってそうだな、という感じ。

「へえー、どんなモデルですか」
「ブームストックっていう雑誌の専属モデルやってて」

聞いたことはあるけど、見たことない。

「ああ」と分かったように答えると、彼は笑った。

「見たことないでしょ」
「ないです」

お互い気まずさを打ち消し合うように笑う。

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