きっと100年先も残る恋
「なんでこうやって二人で会ってるのに、別の約束取り付けるの」
「別のって言ったって一緒行こうって誘ってるし」

自分でも、少し言ってしまったと後悔する。

無意識に親指の腹の肉をビリビリするまで摘んでは離していた。
じわーっと血が流れる気がする。

付き合って2ヶ月。
最近、ちょっとお互いに自己が出てきた。

雄介もたまに頑固だし、私も頑固だ。

「いいよ、私帰る」
「英子との方が先だったから、なんかそれだと俺が勝手な奴ってならない?」
「そうだよ?」

ああ、空気が悪くなる。

今日は特にイライラしていた。
それは自分でも数日前から分かっていたし、自分で自分のことが嫌になる時期だ。

テーブルの上の私の両手の上に、雄介が手を重ねてきた。

「こういうの、俺やなんだけど」

自分で撒いた種のくせに、と思いながら、重ねられた手と手を見る。

私も歩み寄りの姿勢を見せないといけないのは分かってるけど、心が前向きにならない。

「結構、俺の周り、友達とか彼女とか連れてきたりすんの普通だし、英子にもそういうの慣れてほしい」

「かなあ」と濁すように繋げた。

雄介の周りは、モデルとか美容師とかデザイナーの卵が多くて眩しい。
おしゃれな人も多い。
そういう世界が私は苦手で仕方ない。

雄介だから話せるのに。

でも雄介はいつも「いい奴だよ」と言う。

そういう問題じゃないってこと、まだ分かってない。

社交的でいい彼女を演じないといけない。

「無理しなくていいよ」とも言うけど、気を使う。

< 31 / 75 >

この作品をシェア

pagetop