きっと100年先も残る恋
「じゃーいいよ、さっきの断るから」

少し苛立ちを隠し切れない調子で雄介がスマホに手を掛けた。

私はすぐに、その手を抑えていた。

「ごめん、私、今生理前」
「・・・ん?」

雄介が固まる。

「生理前は結構イライラするの、私」

まっすぐに私を見る目。
冷めてるようにも見えるけど、ちゃんと見ている。

「実は12月も1月も普通にイライラしてたし、これからも多分毎月あるし、生理中も結構ストレス多い」

やっと視線が私から外れて、斜め下を見る。
少し考え込んで、また私を見た。

「そういう話?」

私は頷くと、雄介の肩の力が抜けたように落ちる。
すごい撫で肩になる。

「そういう時期だからってこと?」
「もともと人見知りだけど、今はすごく嫌。コータローさんがどうこうじゃなくて」

軽くうんうんと首は頷いてくれてるけど、多分完全に理解はできてないと思う。

「下手すると雄介のことも嫌になる」

そう言うと、笑うように「それはやだ」と言った。

「そして今すっごい雄介にイライラしてる」

笑ってる雄介とは対照的に、なぜか、なんか分からないけど泣きそうになる。

雄介が先輩と飲みに行くだけで、今なんでこんなに泣きそうなほどイライラしてるのか、全然説明つかない。

「そういうの全然分からないけど」と雄介が重ねられた二人の手に視線を落とす。

「分かりたいとは思ってるよ」

雄介のその言葉は、今、すごく好きだと思った。

女って嫌だ。
なんでこんなに情緒不安定になるんだろう。

困らせたいわけじゃないのに、振り回してしまう。

「飲んだら英子ん家行くから仲直りしよ」

雄介のその言葉で、私たちはとりあえず一旦離れることにした。


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