きっと100年先も残る恋
きた。

富士山の頂上からはみ出す太陽の光。
くっきりと浮かぶ丸い一粒のダイヤモンド。
丸い、丸い、大きなダイヤモンド。

ダイヤモンド富士。

それは湖にも反射する。

私たちは富士山にゆっくりと沈みゆく太陽に息を呑む。

自分一人と対峙するようなひと時。

見てしまったというような一種の罪悪感すら感じてしまう。

胸いっぱいに、その瞬間瞬間を刻み込む。

丸い輪郭が少し歪みそうになった時、雄介がやっとスマホでシャッターを切った。
私もやっと思い出して同じくシャッターを切る。

「なんか、付き合って3ヶ月も経ってないのにこういうの見ちゃっていいのかな」

ふと無意識に私からそんな言葉が漏れる。
雄介が「?」という顔で見下ろしてきた。

「次来た時は、多分今とは違う気持ちで見てるよ」

雄介が言う。

「あの時は、まだ付き合ったばっかだったなーって思い出すんだと思う」

沈んでいく。
雄介が私の手を両手で握る。

その「思い出す時」、私たちは一緒にこの光景を見てるんだろうか。
二人でまた、ここに来る日が来るんだろうか。

「私、富士山見るたびに、今日のことを思い出すかもしれない」
「俺も思い出すなー」

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