きっと100年先も残る恋
車は高速に乗って東京を出る。

「海行こうと思って」

雄介がマイペースに運転しながら言う。
安全運転というか、マイペース。
車でも遅いんだ、と思った。

無理して追い越すこともなく、マイペースに進むベンツ。

「あれだよね、私たち」

窓の外を埋め尽くす東京の海を眺めて言う。

「さつま揚げ食べたよね」

雄介が思い出したように「おおー」と言った。

「あの美味いやつね。また食いてえなー」

あの後、小学校の隣の公園でキスしたよね。

そう思いながら海を眺める。

「これ開けて」と雄介が左手でペットボトルを渡してきた。
蓋を開けて左手に持たせてあげると一口飲んでまた私に返す。

「これ私も飲んでいい?」
「もう一本買ってるよ、ない?そこらへん」

前方見ながら、左手だけが私の足元を指す。

あった。
レモンサワー。

「あった、ありがと」

私も一口飲む。

途中トイレ休憩でサービスエリアに止まる。

シートベルトを外すと、雄介と目が合った。
ドアに手を掛けた時、手を運転席の方に引かれてキスをする。

こんな小さなサービスエリアでキスなんてしてるの、私たちだけな気がする。

トイレ休憩だったはずなのに、少しだけイチャつくようなキスをし続けた。
雄介パパの車なのに。

どこかで雄介パパが見てるんじゃないかって気になってしまう。

そしてそれ以前に、他の車から見えてるんじゃないかって問題だけど。

名残惜しさを感じながらキスを終わらせると、やっと「トイレ行こ」と雄介が言った。

2人で車を降りた。

雄介はニットキャップと眼鏡をかけて。


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