きっと100年先も残る恋
2時間後、すっかり辺りが暗くなってしまった頃、やっと千葉の海に着いた。
平日だし、秋だし、暗いし、ほかに誰もいない。
車を降りた時から、雄介が私の手を取る。
思わずハッと手を引っ込めそうになった。
「誰もいないよ」
雄介の低音だけが響く。
少しのスリル。
手を繋いで歩くのはいつぶりなのか思い出せない。
数ヶ月は軽く経っている。
手を繋いで浜辺に出る。
波の音がやたらと大きい。
「すごい音するね」
風で乱れる髪を、繋いでない方の右手で抑えて歩く。
「毎日一緒にいるけど、普通のデートは全然できてないよね」
雄介が言ってきた。
「うん」
久しぶりに私たちの真ん中でぷらーんぷらーんと揺れる手と手。
「嫌じゃない?」
雄介が私に問う。
嫌だとしても正直に言えるわけもなく。
雄介もその心をすぐに読んで、私から目を離した。
そして言った。
「俺は嫌だよ」
波の音もうるさいはずなのに、たぶん雄介は声を張って言ってくれた。
ちゃんと私の耳に届く。
「だから今日は、もし誰かに見つかっても離さないから」
恥ずかしがり屋で口下手で声の小さい雄介が、ちゃんと私に届くように言ってくれた言葉。
顔は足元に向けられているけど、ちゃんと届く。
「英子を守りたい気持ちと、たまに全部ぶっ壊したくなる気持ちがゴチャッてなる」
そこでやっと雄介と目が合った。
顔が笑ってる。
「気持ちが一緒だったらいいんだけど」
雄介が言った。
「一緒だよ」
私は雄介の口元を見て言う。
「今日はぶっ壊したい方だよ、俺」
雄介はそう言うと、私の口にキスをした。
平日だし、秋だし、暗いし、ほかに誰もいない。
車を降りた時から、雄介が私の手を取る。
思わずハッと手を引っ込めそうになった。
「誰もいないよ」
雄介の低音だけが響く。
少しのスリル。
手を繋いで歩くのはいつぶりなのか思い出せない。
数ヶ月は軽く経っている。
手を繋いで浜辺に出る。
波の音がやたらと大きい。
「すごい音するね」
風で乱れる髪を、繋いでない方の右手で抑えて歩く。
「毎日一緒にいるけど、普通のデートは全然できてないよね」
雄介が言ってきた。
「うん」
久しぶりに私たちの真ん中でぷらーんぷらーんと揺れる手と手。
「嫌じゃない?」
雄介が私に問う。
嫌だとしても正直に言えるわけもなく。
雄介もその心をすぐに読んで、私から目を離した。
そして言った。
「俺は嫌だよ」
波の音もうるさいはずなのに、たぶん雄介は声を張って言ってくれた。
ちゃんと私の耳に届く。
「だから今日は、もし誰かに見つかっても離さないから」
恥ずかしがり屋で口下手で声の小さい雄介が、ちゃんと私に届くように言ってくれた言葉。
顔は足元に向けられているけど、ちゃんと届く。
「英子を守りたい気持ちと、たまに全部ぶっ壊したくなる気持ちがゴチャッてなる」
そこでやっと雄介と目が合った。
顔が笑ってる。
「気持ちが一緒だったらいいんだけど」
雄介が言った。
「一緒だよ」
私は雄介の口元を見て言う。
「今日はぶっ壊したい方だよ、俺」
雄介はそう言うと、私の口にキスをした。