きっと100年先も残る恋
私の体の上を慣れたように滑り始めた手が、突然動きをやめてグッと抱きしめてきた。

ん?

雄介と目が合う。

「ゴム、ベッドだ」

雄介がショックを受けた声で呟いた。

「ああー」と天を仰いで嘆く雄介。
明らかに落ち込んでる。

「別にお風呂でやんなくても良くない?」
「やりたかった、すげーやりたかった」

私も雄介も笑い合う。
顔は笑ってるけど、たぶん雄介はかなりショックを受けている。

「あー、今やる気満々だったんだけどなー」

珍しく雄介が駄々をこね続ける。

「珍しいね」
「だってこんなエロい風呂、滅多に入れないよ」

誌面であんなにカッコつけてる男が、こんなことで駄々をこねる。
こんな安っちいジャグジー風呂に興奮する。

きっとそんなこと、誰も知らない。

ステージ上で澄ましてる彼が、こんなことで落ち込むこと、私しか知らない。

「ちょっとゴム持ってくる」と浴室を出ていくカッコ悪い姿。

戻ってきた彼に「かっこわる」と言うと、「うるせー」と笑う。

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