きっと100年先も残る恋
2月の後半、ちょうど空気が澄んでいて、富士山がきれいに見えた。

今まで開いたことなかったのに、ダメだと思いつつも雄介のSNSを開いてしまった。

一面にいろんな雄介の顔がズラリと並ぶ。
私の知らない人だ、と思った。

今日の投稿。
「富士山がきれい。今日も撮影です。」と私が見ているのとまるで同じような富士山の写真が載っていた。

そしてスライドした二枚目の彼の笑顔の写真を見て、ハッとする。

私たち、全然ダメじゃん。
きっと雄介も私も、全然切れてない。

私は、部屋を出た。

部屋を出て、ただまっすぐ、まっすぐに歩いて向かう。
家から一番近い、小さな橋の上。

ゆっくりと水面を見下ろす。

私の頬を伝った涙が5mくらいの高さをまっすぐ落ちていく。
そして静かに吸い込まれていった。

私は深呼吸をして、首元に手を掛ける。

「ありがとう」

手のひらから零れ落ちるように、それはゆっくりゆっくり下降して溶けるように水面に消えた。

私はずっと付けっぱなしだったネックレスをやっと川に捨てた。
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