夜が明けていく。
あれ・・・・・・

私、どうしたんだっけ?

ゆっくりと目を開き、横になったまま辺りを見回した。

頭がまだボーッとしていたからなのか、そこが見覚えのある部屋だと気付くのに少し時間が掛かった。

「華!?ああ、気が付いて良かった。気分はどうかな?」

「伯父さん・・・・・・ここは伯父さんの家だよね?」

「そうだよ。玄関前で倒れてしまったところを、うちの住人がここまで運んでくれたんだよ」

あれ?そういえば、あの時に“あの人”が居たような・・・・・・

私は伯父に支えられながら、ゆっくりと上半身を起こした。

「おっ、気が付いた?いきなり倒れるから、かなり焦ったよ」

視線を向けると、その先に居たのはやっぱり“あの人”だった。

「青山さん!?どうしてここに?」

「俺、ここの住人。あと、メンバーも全員」

「えっ!?メンバー全員、伯父さんの家に住んでるんですか?」

「うん、俺も驚いた。君が辰石さんの姪だったんだね。体調はどう?」

「はい、もう落ち着きました。ここまで運んでくれて、ありがとうございました」

私がお礼を伝えると、青山さんは「どういたしまして」とニッコリ微笑んだ。

少しの間、私たちのやり取りを見ていた伯父が、嬉しそうに口を開いた。

「先に空翔から知り合いだとは聞いていたけど、気が合いそうで安心したよ」

「うん、私も青山さんたちで良かった・・・・・・」

初対面の人たちとの生活に不安を感じていたけれど、住人がバンドのメンバーだと知って私は心底ホッとした。
< 16 / 21 >

この作品をシェア

pagetop