瞳のうらで



ぼたぼた、ざあざあ、と雪から少しずつ雨に変わってしまった。



さっきまであんなに賑やかだったのが嘘のように、雪と雨が降る音しか聞こえない。




耳を澄まして音を聞いていると、







”きゅ~きゅ、、く~ん、、、、”と微かな音、声、、鳴き声が聞こえてきた。









その声に沿うように近くを必死に探した。すると草むらの中に小さくボロボロな段ボール箱が置いてあった。正確に言うと置いてあったのでなく投げ捨てられたような感じだった。





まさか。と、思ったもののその中を見てみると小刻みに震えている子犬がいた。




子犬の真ん丸でクリクリの目は私のほうを見てさらに震えてしまった。きっと人間に捨てられたから、人間が怖いのだろうなと察した。





何日間も放置されていたのか、がりがりに細く、目ヤニがたくさんついていてとても体が冷たい。



私の中で何かが動き、今までにないくらい瞬時に判断できた。






”この子犬を絶対に助ける。”
< 22 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop